数年前に一度読み終えたものを、何を思ったかもう一度。
再度号泣。
兎に角この作家の[~のような]とか[まるで~]といった比喩を煩いほど散りばめた小説。
しかしそれ以上に感動を媚びることなく自然に心根が揺らされ強く感銘を受ける小説。
シーンとしてニースでの終盤は文字を追う事すら出来ないくらい涙溢れた小説。
鬱々とした生き様をアジアンタムに準え、その恋人の癌発覚から死までを色濃く尚且つニュートラルに描きそれが却って強い感動を生み、筆者のしつこい比喩や永遠や無限、死など考えさせられるお題が全体を通し意味するところのアジアンタムの生命力に集約された展開も素晴らしいものでした。
人の優しさとは何ぞや?を問う作品、ご推奨です。