奥田秀朗は軽快やなと、今回の[ガール]を読んでつくづく感じましたね。テンポの良い軽妙な表現、その中にも毒づいた物の言い回しを数多く盛り込んだ上で30代女性の深層心理を上手に描ける人やなと思います。44のおっさんが読んでも終始面白可笑しく、ツボを心得た作風は前3部作[空中ぶらんこ]・[町長選挙]・[インザプール]と全て秀でた短編ばっかの娯楽小説の真骨頂といえますね。
ついでに[バカボンド]今読み込んでます。既に風化し形骸化されつつある武蔵と小次郎を一部デフォルメし、男・剣・死を不文律とした時代背景に、その狂気なまでの死生観、存在すらしない道義性、想像以上に読み応えのあるマンガですね。ただ多分に斬り合いのシーンを配し活字が異常に少ないのが気になりますね。