だらだらぁっと
奥田秀朗は軽快やなと、今回の[ガール]を読んでつくづく感じましたね。テンポの良い軽妙な表現、その中にも毒づいた物の言い回しを数多く盛り込んだ上で30代女性の深層心理を上手に描ける人やなと思います。44のおっさんが読んでも終始面白可笑しく、ツボを心得た作風は前3部作[空中ぶらんこ]・[町長選挙]・[インザプール]と全て秀でた短編ばっかの娯楽小説の真骨頂といえますね。
ついでに[バカボンド]今読み込んでます。既に風化し形骸化されつつある武蔵と小次郎を一部デフォルメし、男・剣・死を不文律とした時代背景に、その狂気なまでの死生観、存在すらしない道義性、想像以上に読み応えのあるマンガですね。ただ多分に斬り合いのシーンを配し活字が異常に少ないのが気になりますね。
五木寛之というという作家の心の写し絵と極限のネガティブを自身の死生観に照らし合わせた自叙伝。
人はみな大河の一滴であり、大きな流れを成し死へと下ってゆく。何も期待しない生き方、究極のマイナス思考などの渇ききったフレーズを連呼し、さらに[地獄は一定]と、今ここにある現実の日々を地獄と解釈し救い難い愚かな自分、欲望と執着を絶つことのできぬ自分、妄執にさいなまれる自分と、兎に角気が滅入る表現が多い。そう萎えた時には、何も期待せず、自分を小さく捉え、這いずり周る自分を自覚する事で楽になると、骨身に染みるお言葉でした。
写真は連れの釣った調理済みのメバルとソイ、この煮つけがまた美味い。ホタルイカの接岸が少なく、今年は厳しいとの事。その3男の厳しい顔もつけて。
貴志佑介の期待通りのホラー作品[天使の囀り]、アマゾンで猿を喰った人間が線虫(寄生虫)に侵され狂っていく様を軸に、原因解明に猪突する主人公女医とミステリアスな古代ギリシャ神話と新興宗教サークルを上手に絡めた火曜深夜特番みたいな小説でした。虫ネタの生唾込上げる気色悪い描写が数多く配置されてましたが、構成と展開が秀逸で追われるように読み終えましたね。たしか同一作家の[黒い家]とか[青の炎]も読みましたが、どれも相当でした。
痛い痛いと思いながら、放っておいたら、起きれません、痛くて。歩くことさえ儘為らないので休んでしまう事に、4日間も、この時期。とにかく腰から尻にかけて痺れる様な痛みが断続的にあって寝るに寝れず、痛み止めとアルコールを巧みに服用して、トランス状態でのご就寝を心掛け、毎日毎日接骨院に通い、周りの目も憚らず奇声を上げて痛さを表現し、涙目の脊椎の鳴る音に溜飲を下げ、[ハイ、OK]とまさしく天使の囀りを耳元で聞きながら4日で直してもらいました。F接骨院、恐るべし。
いいネタでした。[たちあがれ日本]
★投票用紙に「たちやがれ日本」て書いたら無効になっちゃうのかな
★「萌えあがれ日本」なら良かったのに
★「たそがれ日本」と勘違いして、怒ってしまった
★5年後、何人くらい生きてるかな
★「寝たきり日本」の間違いじゃねーの?
★街頭演説で与謝野がダウンするんだろ。そしたらみんなで「立ち上がれ与謝野」コールだよ
★始まる前に終わってた新党
その紋々に有りがちな訓戒的な要素もあったり、逆に肩肘張らずに活字を追えるというもの本の良さかなと思います。[きみのためにできること]女性的でやさしげなタイトル、違和感のない女性作家の男目線、喉越しの良い恋愛小説、村上由佳やなと変に納得でました。thinkpad220やパソ通など、時代背景に古さはありましたが(実際1996年発行)、西表島の描写や自爆メールなど、それなりに起伏のある展開で気持ちよく読めた作品でした。前回[天使の梯子]もまずまず、ねちゃねちゃの渡辺淳一と違っていいですね。
中途半端に古い感のある[死の種子]、危うげな雰囲気を期待して読み始めました。
しかしこれがエイズネタ、今でこそ現実味に欠いた内容と平凡な展開でだらけ気味。[生きている数十年のうちで本当に幸せと思えるのは、わずか数日]独り心地て本書中の言葉が残りました。
相変わらずメッセージ色のつよい天童荒太先生で,精神を病む主人公の[人は生きていく中で、許されていい事は思っている以上に多い]・[深く傷ついたが故に人の痛みに寄り添う事が出来る]・・・・妙に染みいる深い表現やなぁと。精神的な病や身近な死を題材に心根の部分を書かせると上手な人とも思います。
[悼む人]とか[永遠の仔]と長編イメージがあり、今回の[あふれた愛]などと四十路が読むには小恥ずかしい表題でしたが意外とよかった短編集でしたね。
これ見とけと、云われるがままに[バグダッドカフェ]
突き抜けた青の空と土埃の舞う褐色の大地、コントラストの際立った映像の世界観は絶品。それに溶け込むようなジェヴェッタ・スティールのコーリングユーが一層の深みを持たせた映画でした。その分、軸となる主役が曖昧な感じはあるものの配役として特徴的な二人の女性は巧いなと。ただ映像ノ素晴らしさは認めるものの人物像もストーリーも映像美に埋もれた感はいがめない、実にわからん映画でした。
白石一文は好きな作家ですね。
今回の直木賞受賞作品は是が非でも読んでおかんと。
[ほかならぬ人へ]
変に思わせぶりな表題でしたが思わず手に取り読み始めました。
独特に言い回しと意味深い言葉の羅列が多いのが特徴的でも、惹かれる文体には間違いなく、今回も[自分に裏切られながら生きている]とか[証拠のある恋愛]のような、含みのある表現は逸品やなと。
設定も空疎でなく、肌で感じられる叙情的でよしと。
ただ恋愛小説は否応なしに軽い。
つぶやく風に載せてみました。つぃったぁ?
怒涛の更新三昧から全く手付かずで、はや10日、日々更新されるブログには頭が下がります。
[催眠]随分と読み終えるに掛かりましたが、それなりに面白いものでした。催眠療法といわれる精神医療の分野を背景に多重人格者の主人公とその臨床心理士を設え、取巻く2億円の横領事件を上手く織り込んで、最後の表面化した真実はなかなか意味深い。
映画化されたんですが、全くのホラーで確か菅野美穂が天井を四つん這いで走ったり、発狂した宇津井健の引き攣った表情が、それはそれは末恐ろしかったと記憶してます。まぁそれもありかなっと。