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人生の目的

大河の一滴に続いて、[人生の目的]を読み終えました。どちらも死生観を切り口に書き綴られた仏教的な色合いの濃い作者の心の内を描いた作品でした。
[人生の目的とは誰とも違う自分だけの生きる意味を見出すこと]
なかなか理解しがたく難解な答えで、例えるなら人生とは[運命という大きな大河に宿命という小船を漕いで死を意味する海に辿り着くこと]とさらに分かるようで難しい哲学的視点で、”苦”である人生をどう生きるかを歎異抄に準えていろいろ注釈されてました。

実は昨日、同年齢でまさかとは思いつつも旧知の友人の通夜に出席しました。
その時の説法に[領収書を出す人生を送りなさい]と変に頷ける話があり、人としての生様を ”あれが足りない、これが欲しいと” 請求する人生より、”頂けました、ありがとうございます。”と思う領収書の出せる人となれとのこと。
前の五木寛之の言葉と相まって脳裏でグシャグシャに錯綜し、知る限りの故人はどうであったかと思うと遺影を前に止めどなく泣けてしまいました。

自分とは?人生とは?答えの無いままに45年。どうなんやろ。

つまらんかった邦画2本

[ゴールデンスランバー]宣伝広告が変に記憶残った今年初めの頃の映画。総理暗殺の犯人に何故どうして仕立あげられたのかが最後まで不明。堺雅人の半笑いの表情が記憶に残るものの、全体の印象が薄く、締め括りがいま一つの娯楽邦画でした。さらに[サヨナライツカ]まさに中山美穂の肢体以外に見る価値なしの一本。パッサパサの邦画2本でした。

Z目さんが自分に矛先を向けたので報復準備、O平さんと共に自爆する様に何か仕込んでおきますね。

[Limit] 野沢尚

[Limit]稀に見る傑作、寝る間を惜しんで読んでしまった質の高い推理小説。
成功率は皆無に近い幼児誘拐を成功に導く見事な手法を描きだし、幼児臓器売買の背景の細かな概説を追従させ、子を思う女性の母性を随所に盛り込んでいく、この3つを軸に次々と驚きの展開で推移し、無理無駄のない現実味を多分に含んだ現代推理小説の真骨頂であると思います。
特に登場人物の切り取られた点と点が見事に焙りだされた最後は圧巻、ただただ感心した小説でした。

野沢尚、暫く嵌ってみようと思います。

捜査中

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10日の現金強奪事件から3日、ポカポカと小春日和のこの日、ヤクザ紛いの刑事らしき人間が新鮮市場に陳列、周囲に睨みを利かし、ウロウロと徘徊する様はそのままゴロツキ。変に目立つとアヤつけられそうなので、そぉっと遠くから盗撮。
暫く面倒な事になりそうですね。

とりでなきもの

[砦なき物]久しく読んで無かった分、のめりこんで一気に読み終えた一冊、筋立ての良い小説でした。
殺害予定の被害者が仕組んだトリックと巻き込まれるテレビ局の視点と錯綜するそれぞれの思惑を見事に描いた第一編、犯人であろう人間の深層心理と生き様を上手く絡めて引っくり返した第2編、どちらもリアリズムを損なわない秀作でしたね、与太話の3部4部に比べると。

それにしても齋藤智、これほどの話題性、実にアヤしい。

無理やりDVD

[めがね]・[かもめ食堂]、
妙なフェミニズムを醸し出し、妙なオシャレ感を強要され、妙な小林聡美とその一味の不可解な世界を続けざまに4時間、爆睡です。魘されそうで怖いわ。

[THE NOTEBOOK]
感動を押し付けない、それでいて緻密に琴線に触れてくるのが洋画の魅力やなと改めて思わせる作品でした。
実はその物語は・・という展開が、作為的でなく実に印象的で全体の根幹を担い、自然な感情移入による胸を打たれる光景に涙した映画でした。医者も見放したアルツハイマーの妻を献身的に介護し物語を読み聞かせる殊勝な夫、その夫の愚直なまでにあふれる愛情と物語に沿った回想シーンの数々、見応えのあるものでした。

クロッシング

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フォルツァ総曲輪をグッショリ濡らし韓流ドラマを彷彿させる怒涛の号泣シーンを多分に盛り込んだ、北朝鮮の惨状を脱北者の父と子の目線で描いた教育的名作。最後の楽園と風潮されたイメージ映像が最後を飾るのが変に印象的であったものの、それ以上に現実の凄まじいまでの極貧、微塵も尊ぶことなく蔑ろにされる人命、腐敗しきった正に収容所国家の事実を訴えかける北朝鮮の闇を克明に描写された映像に圧倒。
中国・韓国との大きな落差の中で取残された隣国の悲しい真実を改めて深く刻み込み、今いる現実を猛省し、どうすべきかを黙考し、腹いっぱいメシ食って帰りました。

天使の卵

結構シツコイ性格で、気に入るとそればっかなんですが。村上由佳、安心の毎回同じ色調で淡々と進行してゆく男目線でありつつも女が主体の[天使の卵]、抑揚も複線も無く、酔った頭で読み進めるには丁度良い小説で人気女性作家らしい程々の出来栄えでしたね。しかし四十のおっさんには若干食傷気味で索漠とした読後感もあり、辛いのも欲しくなりますね。

この前のDVD

怒涛の週末DVD鑑賞[oceans]と[沈まぬ太陽]。数ヶ月前に上映されていた映画をもうこの時期観れるのは良いですね。

[OCEANS]若干のハズレ感漂うエンディングと供に薄い所感しか残らない、大きく空振った作品。雄大な映像美は筆舌尽くしがたいものはありますが・・・

[沈まぬ太陽]とても原作は読む気になれません。DVDの3時間、十分に山崎豊子を実感できる作品でしたね、途中休憩まであって。社内で虐げられる主人公の頑ななまでの善と伸上る裏切り者の小ズルイ悪とが実に対照的で、妙な既視感に憑かれます。白い巨塔ですね展開はまさしく。最初の30分で号泣でしたが、後の展開も緊張感があって楽しめた映画でした。

[星々の舟]

特別な偏見はもたない様にしてますが、女性作家は避けますね。なにかこう無意味な文字の羅列と悪趣味な表現が嫌悪をもよおしそうで。
ただ村上由佳は別腹で男の心理を嫌らしくなく描ける女性やなと。今回の[星々の舟]は結構踏み込んだ内容で最後まで興味深く読めました。ある家族の一人一人を主人公に短編化しての連作で、義理の母親の死から複雑に絡んだ兄弟と姉妹の心模様を突飛な展開に載せて因果関係を紐解いてゆく小説、兄妹愛・不倫・強姦・戦中話、こんな感じでしたね。

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