在日の差別感情を余す事無く書ききった梁石日(ヤンソクイル)の異邦人の夜、読み応えのある一冊でした。
冒頭から見下したように日本人、政治家・暴力団を論うように書き殴り、不法滞在フィリピン人女性の日本人への執着と、在日2世を自覚し自己喪失した娘と、過去に苦悩する在日韓国人の父親の、その両面から延々500ページ以上に構成した長編小説。
根底にある差別感情を文字に起こすと、こうまで汚い日本人を描けることに不思議と違和感はなく、逆に在日の耐え難い差別意識を美化するでもなく、その狭間に生きるカタワな心情を軸に存在意義であるとか人権規約であるとか新しい世界観に触れたようで新鮮に読み終えました。
忙しさに感けて久々の一冊でした。